――今日のことを振り返る。
五十嵐くんに恥ずかしい搾乳を見られてしまったこと。
それを見た五十嵐くんが襲ってきたこと。
いや、襲ったというほどでもないわね……
彼は私自身を汚したわけじゃないもの。
そして、十何年ぶりだろう……
人に、異性に『好きだ』と言われたこと。
……そうなのだ。
……私は五十嵐くんに乱暴されたことよりも、
五十嵐くんに好きだと言われたことのほうが
強く印象に残っている。
【惠子】
(それに私のあの姿を見て、
彼はあんなにも興奮して……)
【惠子】
(こんな私に興奮するだなんて……)
下着もゆっくりと脱いでいく、
鏡には歳を経て、張りも艶もなくなった
中年の女の身体がまざまざと映し出される。
私はなんだか恥ずかしくなって、
誰が見ているわけでもないのに
身体をバスタオルで包んだ。
もう一度鏡の中の私をじっと見る。
【惠子】
(もうすっかり、おばさんだわ……)
【惠子】
「こんなおばさんの身体なのに……
あの子は好きだなんて」
思わず声に出てしまった。
ハッとするが、他に誰もいない空間。
気にするのを止めて呟き続けた。
【惠子】
「男の子……
いえ、男性にあんな風に言われるなんて
いつ以来、かしら……」
五十嵐くんのような若い男の子が
私を好きだなんて……
思春期にありがちの憧れかしら……?
それとも彼は父子家庭だから、
年上の女性に母性を求めているのかしら?
五十嵐くんのことを思い出そうとしたら、
今日の彼の別の部分を思い出してしまった。
【惠子】
「……あんなに固くて、
あんなにいっぱい出すなんて」
腰にキュンとしたものが走る。
身体がビクっとして、バスタオルが落ちた。
【惠子】
「あ……」
鏡に映った私は頬を染め、
乳房からまた母乳が滲み出していた。
仕方ない……だって、
私の体が男性の局部を感じるなんて……
それこそ十何年ぶりだったんだもの。
裸を隠すこともせず、鏡の中の興奮した自分を見て
さらにドキドキと鼓動が弾む。
【惠子】
(こんな私で、こんな私で……
あんな風に猛って……)
目の前が靄がかかったようになる。
興奮して自分でくらくらしているのが分かる。
そのまま陶酔しそうになるのを、
最後の理性がしっかりと釘を刺した。
【惠子】
「何考えてるの、私……!」
【惠子】
(そうよ、気の迷いよ。
だいたい私は彼の教師なんだし、
こんなおばさんに憧れるなんてありえないわ!)
私は頭を振って、洗い場のドアを開けた。
【惠子】
(もうダメね、私……
女であることは諦めなきゃ。
私は母なんだし、教師なんだから)